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電気メス対極板 メガ2000の威力

[2022年10月22日]

こんにちは。獣医師の平松です。以前よりブログなどで高性能電気メス・超音波メス複合機のサンダービートについて紹介させて頂いておりましたが、今回は電気メスを使う際に必要となる対極板についての話題です。

対極板とは、電気メスのモノポーラという棒状のデバイスを使う際、動物の体に害を出さずに電気の力で切開・止血ができるよう、高周波電流を電気メス本体へ逃す役割があります。

↑ 上の画像の手術台の上に設置してある、黒い板のようなものが対極板です。コードで左奥にある以前使っていた電気メス本体に接続しています。実際使う際には、この対極板に濡れたガーゼをかぶせ、その上に動物が横たわる形になります。さらに動物の毛もよく濡らし、対極板に密着させます。

この濡らすという行程が電気メスを使う際に重要で、十分に濡れていないと電気の通りが悪くなり、電気メスの出力が弱くなってしまいます。また、最悪、動物の皮膚が炎症を起こす恐れもあり、そのような事にならないよう、ひたひたに濡らしたガーゼを対極板に巻き、手術時間が長くなる際には 手術の途中で改めてガーゼと動物の毛を脇から濡らす必要があります。

しかし、小型犬などの体の小さい動物の場合、濡らす事で体温がかなり低下し、麻酔をかける上で心配事の一つになることがあります。また手術途中で濡らす作業も、手術をする手をその都度一旦止める必要があり、多少煩雑になります。

そこで、サンダービートを導入するタイミングで、対極板も良いものにアップグレードすることにしました。その名も、メガ2000です。コチラ。↓↓↓

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こちらの手術台の上のグリーンの低反発マットの上に敷いてある、ビニールに入ったこれまたグリーンのシート状のものが、メガ2000という対極板です。これを奥のサンダービートに繋ぐ事で、モノポーラを使用できます。

最初の画像の対局版より薄く、そして広い面積になります。このメガ2000は体に接触する面積が大きいため、濡らす必要がありません。また、メガ2000の上にタオルや保温器具を敷いても使用可能です。

これを使用することで動物を濡らすことなく電気メスのモノポーラが使用でき、体温低下のリスクを軽減できます。また、長い手術でも最初から終わりまで電気メスの威力は弱くなることがありません。

このメガ2000を、高性能電気メスであるサンダービートに繋ぐ事で、最強の電気手術器となります。ほぼ全てのメーカーの電気メスを使用したことのある大川先生も、今までで一番使いやすい電気メスであるとの太鼓判を頂きました。自分的にも使用感は相当良いと感じています。

しかしこのメガ2000、対極板だけで実は数十万円します。高額なのがネックです。しかし、電気メスを使用した事による低体温や熱傷のリスクがなく、手術を通して威力が変わらないこのメガ2000、導入して本当に良かったと思います。

今後も麻酔や手術のリスクを軽減できる機器は積極的に導入し、より安全性の高い治療を目指していきたいと思います。

獣医師 平松