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胸部エマージェンシーセミナー

[2018年08月06日]

こんにちは。獣医師の平松です。7月は日曜日にお休みを頂き、田町まで胸部エマージェンシーセミナーを受けて参りました。今回は、北海道の夜間専門病院で救命救急を専門としている先生の講義でした。講義内容は、呼吸困難を主訴として緊急来院された動物について、どのように治療・検査を進めていくべきについてが主題となっています。

今まさに、呼吸困難で急変しそうな動物に対し、いきなりX線検査やじっくりと超音波検査はできません。なぜなら、その検査をするストレスで心肺停止になるかもしれないからです。そのような特別緊急処置を要する場合には、呼吸困難の原因究明のための画像検査をする前に、即座に酸素吸入を行い、血管の確保・採血を行います。そしておすわりなど動物が楽な姿勢を保ち酸素吸入をしながら、エコーを当てるなどして呼吸困難の原因を迅速に探します。

酸素吸入により、ある程度呼吸が安定してきたらX線検査を行い、さらに呼吸困難の原因を調べていきます。この講義では、FASTと呼ばれる迅速にエコーを当てる手法や、肺エコーの手法などが紹介されていました。

梨の木どうぶつ病院では、出来る限りではありますが夜間救急も行っているため、今回の講義内容は、救命救急を行う上でとても参考になりました。しかし、ウチの病院のようにプライベートの時間を削って夜間救急を行うのと、講義をしてくれた先生が所属する夜間専門病院とでは、歴然とした差があるのを感じずにはいられませんでした。

上の画像は、夜間専門病院での緊急処置を行っている様子です。人数をご覧ください。画面に映っているだけで5名、さらに左下の記録をとっている人(記録簿のバインダーだけ映っている)もいれると6名もいます。

ウチの病院では、夜間救急は獣医師が1名で対応し、どうしても保定や助手が必要な時は、看護師の嫁に来てもらうか、他の獣医師が起きられれば来てもらい、処置や手術をすることになります。日中も相当忙しく働いている中、次の日も朝から仕事で、更に夜間もとなると、どうしてもこのようなスタイルとなってしまいます。

夜間専門病院と比較すると、技術や設備はともかくとして、マンパワーが違いすぎ、正直羨ましく思いました。

それでも夜間救急を続ける理由は、自分が診なければその症例は死ぬかもしれないと思うからです。しかし自分もアラフォーを迎え、全ての夜間症例を受け入れることが難しくなっています。そのため、比較的近所に救急専門の「動物救急センター府中」ができたこともあり、ある程度はそちらの力も借りて、自分はできる限りやっていければと考えています。

しかし、やるからには診た症例は全力で助けていきたいと思いますので、今後も救命救急については継続的に勉強していきたいと思います!

↑ 会場で上野動物園獣医師の平野先生(画面向かって左のイケメン)と会いました。平野先生は僕の後輩の獣医師なのですが、動物園獣医師なのに犬猫の勉強も弛まずに行っているとは、流石です。聞くと、動物園動物の治療も、犬猫の治療がベースとなっていることが結構あるんだそうです。象やキリンなどの治療は、一体どんな感じなのでしょうか。興味深いですね!

獣医師 平松