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胃捻転

[2020年10月10日]

胃捻転

症例は犬(犬種:カネコルソ)6歳、去勢オス。突然お腹が膨らみ、吐きたそうにしているとの主訴で夜間に緊急来院しました。触診で顕著な腹囲膨満が認められたため、X線検査を実施しました。

上の画像はお腹側から見たX線画像です。顕著な胃の拡張(真ん中あたりに見える黒い塊)が認められました。

この症例は30kgを超える大型犬のため、この後、拡張した胃が捻れる事でショック症状を起こす胃捻転に移行する可能性が高いと判断し、緊急手術を実施しました。

白矢印で示した部分が拡張した胃ですが、すでに白っぽい大網がかぶさっており、手術開始をするまでの30分ほどの間に胃が捻れ、胃捻転に移行していました。

そこで胃の捻れを整復し、胃捻転が再発しないよう、胃を腹壁に固定しました。

上の黄色矢印部分が、胃の右側と右腹壁を縫合糸にて固定した様子です。症例は手術後、消化器症状はなくなり、無事退院しました。

大型犬は胃捻転胃拡張症候群を起こすことが比較的多く、死亡率も非常に高い病気です。特に夜間の発生率が高く、原因は食後の運動などが指摘されていますが、そういった心当たりがないのに発生することもあり、解剖学的な体格・胃の位置や大きさなどが関係しているようです。

大型犬が夜間に嘔吐・悪心・腹部膨満などの症状が現れたら、即緊急病院へかかる必要があります。