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外傷性の眼球突出

[2014年04月10日]

外傷性の眼球突出

症例は推定3歳齢のオスのポメラニアン。高い所から落下してしまい、右目が赤くなってしまっているとのことで来院しました。以下の画像は初診時の外貌です。

強い衝撃が顔面に加わったことで、右眼が眼球突出を起こしていました。眼球結膜は重度に充血し、角膜炎、前眼房出血をおこしていました。そのため、麻酔下にて眼球整復を行い、再脱出の防止と角膜修復の目的で眼瞼フラップを行いました。

※眼瞼フラップ・・・上瞼と下瞼を閉じた状態のまま縫合し、眼球を湿潤状態に保つ手技。

↑ 術後の様子です。飛び出していた右眼を整復し、眼瞼フラップにより右眼が閉じた状態に保たれています。

↑ 術後5日目の様子です。眼瞼のアザがかなり引いています。そのため、抜糸を行い眼瞼フラップを解除しました。

↑ 眼瞼フラップを解除した後の様子です。眼球の再脱出はなく安定しました。視力は残念ながら低下してしまいましたが、失明は免れました。

外傷性の眼球突出は、時間が経てば経つほど視神経が引き伸ばされダメージを受けます。また角膜も乾燥による損傷を受けるため、出来るだけ早期に眼球整復を行う必要があります。処置が遅れると失明するだけでなく、角膜の損傷から眼に穴があき、眼球摘出が適用になる場合もあります。すぐに病院へかかることが重要です。