û

メニュー


上顎の巨細胞性エプリス

[2013年09月16日]

上顎の巨細胞性エプリス

症例は10歳齢のミニチュア・ダックスフント。上顎にしこりができ、他院にて抗生剤を処方されていたが、改善がないとのことで来院されました。

この腫瘤は右上顎第二~第三切歯周囲に存在しており、病理検査の結果、巨細胞性エプリスと診断されました。巨細胞性エプリスは、ガンや低悪性度の腫瘍と比べ、浸潤性は低いと言われています。しかしこの症例は、右の画像で示したように、硬口蓋(上顎の歯の裏あたり)まで腫瘍が浸潤しており、その後2週間で2倍ほどに腫瘍が増大しました。

そのため、正常範囲を含めた拡大切除を実施することとし、上顎部分切除術を行いました。

上の画像は手術後の様子です。左上顎第二切歯から右上顎犬歯前方までの上顎骨を含めた腫瘍を切除し、粘膜と硬口蓋を縫合しました。

犬の口腔内腫瘍は、現在研究者により腫瘍の分類が再度なされている状態であり、良性と診断されたとしても、腫瘍の増大が早い・腫瘍が破けるなど挙動が悪ければ、悪性と同じ手術対応が必要となる場合があります。

本症例は、腫瘍が小さい内に、最小限の拡大切除が実施できたことで、手術後も顔の変形はなく、食事も問題なくすることができます。