û

メニュー


会陰ヘルニア

[2014年07月27日]

会陰ヘルニア

症例は13歳のコーギーのオス。便の出が悪いとのことで来院しました。直腸検査にて、直腸を支える筋肉が薄くなっており、会陰ヘルニアであることがわかりました。

会陰ヘルニアは、直腸を支持する筋肉が萎縮する事で直腸が蛇行し、便を出すのに時間がかかったり、便が出なくなるなどの排便困難を呈する病気です。また、膀胱が肛門側へ変位し、排尿困難に陥る事もあります。

そこで飼い主様と相談の結果、手術によりへ院ヘルニアの整復を行うこととしました。

上の画像は麻酔をかけ、毛刈りなどの前準備が済んだ後の臀部周辺を示しています。肛門は正常よりも後方へ変位し、周囲の皮膚は垂れ下がっているのがわかります。

手術は、人工医療用素材であるポリプロピレン・ソフトメッシュを使用し、直腸を支持する筋肉の替わりとなるよう、肛門周囲組織へ設置します。

↑ ポリプロピレン・ソフトメッシュである「PROLENE Soft」を使用。

上の画像はメッシュを設置し、縫合が終了した直後の様子です。肛門周囲の筋・皮下組織とメッシュを固定し、たるんでいた皮膚が引き締まっています。手術後、数日で排便困難は認められなくなり、一週間で退院となりました。

上の画像は、術後一ヶ月後の様子です。正常な外貌に戻りました。以降も排便困難は無く、スムーズに排便ができるようになりました。

会陰ヘルニアの手術には特別な技術が必要です。訓練された獣医師の手術でなければ再発を繰り返し、その度に手術を行わなくてはならず、後遺症の発生率も高まるため注意が必要です。

この病気は、男性ホルモンの影響で発生すると考えられており、会陰ヘルニア予防には若い内に去勢手術を行うことが有効です。