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リウマチ様関節炎

[2014年01月25日]

リウマチ様関節炎

症例は8歳齢の避妊済みのマルチーズ。前足首が徐々に外側へ曲がってきて、歩かなくなってしまったとのことで来院しました。以下の写真は来院時の前肢の外貌です。

前肢の手根関節は外反しており、屈伸させるとパキパキとクリック音がしました。そこで、レントゲン検査を行い、骨関節の状態を確認しました。以下の写真はこの症例の手根関節と、比較のための正常な手根関節です。

症例の手根関節 ↓            正常な手根関節 ↓

正常な手根関節と比較し、この症例は手根関節を形成する多数の手根骨が溶解し、関節面が崩れていました。そのために手根関節が真直ぐの状態を保つことが出来ず、外反していました。

手根や足根に多発性・左右対称性に関節炎所見が認められた場合、免疫介在性の関節炎が強く疑われます。そのため、血液検査・尿検査・関節液検査などを追加で行いました。その結果、リウマチ因子陽性、関節液が水様性で多数の有核細胞を確認、また関節液の培養検査が陰性だったことなどにより、リウマチ様関節炎と診断しました。

リウマチ様関節炎は進行性の関節疾患であり、手術で改善させることはほとんどできません。そのため消炎剤や抗リウマチ薬、レーザー治療、サプリメントで進行をなるべく遅らせたり症状を緩和します。近年では装具などの関節サポーターにより歩様が改善するケースもあります。

本症例は病態がかなり進んでおり、劇的な歩様の改善は見込めませんでしたが、病気の進行を遅らせる目的でレーザー治療・サプリメントの投与を行い、積極的に起立して歩くようになりました。