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異物による消化管通過障害

[2013年11月12日]

異物による消化管通過障害

症例は1歳齢の小型のミックス犬。ここ2日間、元気・食欲がなく、一回吐いたとのことで来院しました。レントゲン・エコー検査を行ったところ、胃・十二指腸の異常な拡張所見が認められました。

↓ 画像の矢印で示した部分が拡張した胃

そこでバリウム造影検査を実施し、消化管の通過状態を確認しました。

↓ バリウムを飲ませた直後       ↓ 1時間後

↓ 2時間後               ↓ 4時間後

バリウム造影検査の結果、胃の明らかな拡張と、十二指腸に異物を疑う陰影を確認しました。また、バリウムは4時間経過しても胃の中に滞留しており、異物の誤食による消化管通過障害が強く疑われました。

そこで、試験開腹を実施し、開腹下で消化管を始めとした腹腔内臓器の確認を行いました。その結果、胃と十二指腸に異物が確認されました。

上の画像は胃と腸の異物を触診にて確認したところです。他の諸臓器に異常が無いことを確認し、胃および腸を切開、異物を摘出しました。

異物は多量の繊維の塊と、輪ゴムでした。このような糸状・ヒモ状の異物は、放置するとピンと張ってしまい腸が切れ、腹膜炎を起こす恐れがあります。そのため、糸状・ヒモ状の異物を疑う場合は、特に迅速な対応が必要となります。

異物を食べるクセのある動物は、誤食を繰り返すことがあります。飲み込んで詰まらせるような物は、動物の届く範囲には置かないようにすることが重要です。